【オニヤドカリ】”ヤドカリのお刺身”と”ヤドカリフライ”、”ヤドカリ汁”の味についてのレポート

今回の記事に含まれる写真は人によってはショックに感じられる可能性があります。
虫系の画像が苦手な方は閲覧をされないよう予めお願いいたします。

 

オニヤドカリ とは

「オニヤドカリ(ホンドオニヤドカリ)」
「オニヤドカリ(ホンドオニヤドカリ)」

「オニヤドカリ」の正式な和名は「ホンドオニヤドカリ」。

三浦半島や三重県紀伊で伊勢エビ漁の網にかかる大型のヤドカリです。

磯溜まりで見かけるかわいい小さなヤドカリとは異なり、手のひらサイズのかなり大きなヤドカリです。

全身に毛が生えており、鬼のような見た目?から「オニヤドカリ」と名付けられたそうです。

食用としてはあまり一般的ではなく、三浦半島等の地元で食べられる以外は釣りの餌として活用されることの方が多い様です。

オニヤドカリの入手方法

「オニヤドカリ」は都内では鮮魚に強い専門店でもまず見かけることはありません。

地元に密着している通販のサイトでごく稀に見かける程度です。

ほとんど見かけることはありませんので、もし興味があれば即買いをお勧めします。

もしくは現地に行って捕まえるという手もある様ですが、詳しい方でなければ難しいように思います。
(YouTubeで検索をすると何件かはヒットします。)

今回は通販で5匹セットで販売されていたので色々な調理方法で頂いてみたいと思います。

オニヤドカリの種別

十脚目>異尾下目>ヤドカリ科>オニヤドカリ属>ホンドオニヤドカリ

最近は「タラバガニ」はヤドカリの仲間というトリビアが一般的になってきましたが、「タラバガニ」は今回ご紹介の「オニヤドカリ」の親戚なので、同じ「異尾下目」に属します。

ちなみに、食用のカニさんとして有名な「ズワイガニ」「毛ガニ」などのカニは「短尾下目」になるので結構遠い親戚。

遠い親戚なのに進化する程に外観が近づくという、「収斂進化」というセオリーがあるのですが、いろいろなカニさんを食べて、その味を体験していると見た目は似ているけど、味の”違い”は感じられるようになり、非常に興味が湧いてきます。

オニヤドカリのお刺身

「オニヤドカリ(ホンドオニヤドカリ)」
「オニヤドカリ(ホンドオニヤドカリ)」

まず一品目は味が一番ダイレクトに感じられる”お刺身”。

食べるのは貝殻に収まっているお腹の筋肉?の部分です。

「オニヤドカリ(ホンドオニヤドカリ)」
「オニヤドカリ(ホンドオニヤドカリ)」

まずはお腹の部分を切りとって、袋状になっている部分を捌いていきます。

「オニヤドカリ(ホンドオニヤドカリ)」
「オニヤドカリ(ホンドオニヤドカリ)」

お腹はとても”ぷにぷに”していて気持ちいいのですが、尻尾の先にはしっかりとした硬い部分があります。

これで貝殻に体を固定しているのかと。

「オニヤドカリ(ホンドオニヤドカリ)」
「オニヤドカリ(ホンドオニヤドカリ)」

お腹の部分を捌くとウニのような黄土色の組織とその下の筋肉のような2つの組織が現れます。

ウニの様な部分は美味しそうですが、You Tubeで食べた方の感想を見てみるとあまり美味しそうではなかったので、筋肉部分だけをいただくことにしました。(でもなんだか勿体無いので後で味噌汁にしています。)

「オニヤドカリ(ホンドオニヤドカリ)」
「オニヤドカリ(ホンドオニヤドカリ)」

お腹の”ぷにぷに”した部分を日本酒を入れた氷水でさっと洗い、臭みを取った後、一口サイズに切り分けます。

「オニヤドカリ(ホンドオニヤドカリ)」
「オニヤドカリ(ホンドオニヤドカリ)」

2匹をお刺身、1匹は湯引きにしました。

「オニヤドカリ(ホンドオニヤドカリ)」お刺身
「オニヤドカリ(ホンドオニヤドカリ)」お刺身

まずは”湯引き”をした方の「オニヤドカリ」を。

「オニヤドカリ(ホンドオニヤドカリ)」お刺身
「オニヤドカリ(ホンドオニヤドカリ)」お刺身

軽いプリッとした食感と甘さ。

筆者
これは旨い!
何の味に近いかといえば「ホタテ」!!

あまり期待していなかったのですが、思った以上に美味しいです。

何に近いかというと「ホタテ」に似た味と食感です。

湯引き、なかなかイケてる味でした。

「オニヤドカリ(ホンドオニヤドカリ)」お刺身
「オニヤドカリ(ホンドオニヤドカリ)」お刺身

そして、いよいよお刺身。

筆者
磯臭いけど、結構美味しい!

口に含んだ時の香りはかなり磯臭く、「ホヤ」の味と香りが一番最初に連想されました。

筆者「ホヤ」が結構好きなので、抵抗なくいただけましたが、結構独特な香りと苦味がありますので好き嫌いが激しく分かれそうです。

ちなみに、「オニヤドカリ」は地元では「アマガニ」と呼ばれているそうで、食べた後に水を飲むと甘く感じられることからその呼び名が付いているそうです。

「オニヤドカリ(ホンドオニヤドカリ)」お刺身とお水
「オニヤドカリ(ホンドオニヤドカリ)」お刺身とお水

試してみましたが、さほど甘くはならず。。

「オニヤドカリ(ホンドオニヤドカリ)」お刺身と焼酎
「オニヤドカリ(ホンドオニヤドカリ)」お刺身と焼酎

お水は甘くはなりませんでしたが、少しエグ味がある大人の味で焼酎はとても美味しくなりました。


なぜオニヤドカリを食べると水が甘くなるのか?

お刺身を食べていると口の中がピリピリと少し痺れたので、お水を飲むと甘くなるという感覚がなぜ起こるのか、個人的には理解できた気がします。

話が変わりますが、筆者「担々麺」がとても好きなのですが、痺れが強い坦々麺は苦手です。

痺れが強い坦々麺を食べた後に水を飲むとめちゃくちゃ水が甘く感じられるのが”さらに苦手”なのですが、おそらくこれと同じ現象が「オニヤドカリ」の肝に近い部分の苦味を食べることで舌が痺れて起こっているのではないかと思いました。

もし、お水を飲んで甘く感じる体験をしたいのであれば、湯島、浅草にある坦々麺の銘店『阿吽』の痺れMAXを食べれば確実かと思われます。

筆者は”痺れレベル2”でもお水が砂糖水のように甘く感じられます。。

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オニヤドカリのヤドカリフライ

「オニヤドカリ」のヤドカリフライ
「オニヤドカリ」のヤドカリフライ

今回は5匹届きましたので、残りの2匹は”フライ”にして頂きたいと思います。

なぜフライを選んだのかというと、お刺身を食べてみて感じたのは、(美味しいんですが)結構強めの”磯臭さ”が万人受けしないのではという点。

では、フライにすると誰でもイケるのではないかと思い、残りの2匹を”ヤドカリフライ”にしてみました。

「オニヤドカリ」のヤドカリフライ
「オニヤドカリ」のヤドカリフライ

尻尾の先っちょの硬い部分を引っ張るとエビの”背腸”の部分がスポッと取れます。

「オニヤドカリ」のヤドカリフライ
「オニヤドカリ」のヤドカリフライ

後はエビフライと同様の料理方法で調理してイキます。

「オニヤドカリ」のヤドカリフライ
「オニヤドカリ」のヤドカリフライ

下の画像の左にチラッと見えるのはバナメイエビ。

せっかくなので、エビフライとどっちが美味しいか食べ比べです。

「オニヤドカリ」のヤドカリフライ
「オニヤドカリ」のヤドカリフライ

↓完成。「オニヤドカリ」のヤドカリフライです。

食べるところは結構少ないですね。。

「オニヤドカリ」のヤドカリフライ
「オニヤドカリ」のヤドカリフライ
「オニヤドカリ」のヤドカリフライ
「オニヤドカリ」のヤドカリフライ
筆者
身は”ほろっホロ”。
程よい甘味で美味しい!
辛めの日本酒でイキたい!!

ヤドカリフライ、かなり旨いです。

身は箸でつまむと崩れるほどホロホロの柔らかさ。

非常に淡い甘味と噛むと崩れるような食感があり、プリプリ食感で甘味が際立つめの自己主張強めのエビフライとは全く違う美味しさです。

「オニヤドカリ」のヤドカリフライ
「オニヤドカリ」のヤドカリフライ

オニヤドカリの味噌汁

「オニヤドカリ(ホンドオニヤドカリ)」味噌汁
「オニヤドカリ(ホンドオニヤドカリ)」味噌汁

お刺身にした時の頭を味噌汁にしました。

お腹を捌いたときに出たウニの様な”肝”の部分も加えました。

お湯に溶かすと固まるかと思ったのですが、さっと溶けていってお味噌と一体となっていました。

「オニヤドカリ(ホンドオニヤドカリ)」味噌汁
「オニヤドカリ(ホンドオニヤドカリ)」味噌汁

見た目はちょっとアレですが、焼酎で程よく酔っていたので苦味が良いアクセントになっていた気がします。

おしまいに

「オニヤドカリ」お刺身、湯引き、フライともに思っていた以上に美味でした。

順位をつけると

  1. フライ
  2. 湯引き
  3. お刺身

の順番です。

都内で通販を利用して購入するとなかなかのお値段ですが、地元で安く購入できたり、岸壁で釣ったり出来るのであればなかなかの食材ではないかと思います。